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銅版画2

 先週のことでしたが、銅版画の展覧会に参加しました。額装による展示なんて、小学生以来。少し緊張しつつもいくつか新しい気づきがあったので書き留めておきます。

 まず、版画について。版画は当然「刷る」ことにより完成するものです。絵画というものは、水彩画であれ、油絵であれ、水墨画であれ、絵筆を持って描いていくのですが、作家が「えい、これで完成だ!」と思ったところで完成されます。ただ、描き続けていると、いつが完成なのかわからない事が多々あるのです。その点、銅版画はプレス機を通し、フエルトをめくり、紙の端をつまんでペロリとめくった瞬間「お、そんな感じに来るか」と、自分の作品を新鮮な気持ちで見ることができる。自分と作品の間のやり取りがいろいろ変化していく。

 それから、「額装」について。あれこれ刷ってみて、ようやく自分の感覚に近いものが出来上がって、「よし、展覧会に出してみよう」と思った作品。それなりに満足はしていたのですが、額装してみると、また違った見え方になる。自分と作品の間のやり取りに、句読点の丸がついた感じ。

 出展したのは、2つの小さな作品でしたが、会場搬入の際は大切に抱え、いそいそと神奈川県民ホールへ運んで行きました。版画工房の作業も好きなのですが、こういう展示があると、また気が引き締まります。工房に通う方々の作品も大変興味深く、作品を前にして本人からいろいろ話が聞けるのも非常に参考になりました。本当は、活版印刷で名刺を作ろうと思って立ち寄った工房なのですが、自分のペースで版画も続けていきたくなりました。